隗より始めよ

【読み方】かいよりはじめよ

隗より始めよの意味

遠大な計画や事業を行うときは、まず手近なところから始めよ。それが転じて、何事も言い出した自分から始めよ。

隗より始めよの由来・語源わかりやすく

出典は中国の『戦国策せんごくさく』で、次の故事に由来する。

中国の戦国時代、えんせいに攻め込まれ劣勢にたたされていた。燕の昭王しょうおうは王位に即くと国の再興のため人材集めに熱心になる。しかしなかなか目ぼしい人物が集まってこない。王はなぜ人材が集まらないのか、郭隗かくかいに尋ねてみた。すると次のようなたとえ話をはじめた。

「むかし、名馬を求める王がいて、家来に千金を渡し名馬を買ってくるよう命じた。家来は一日に千里走るという名馬の噂を聞きつけるが、みつけたときにはその馬は死んでいたという。そこで家来は五百金を投じて死馬を買って帰ってきた。
当然、王は怒ったが、家来は『死んだ馬の骨を高く買うほどだから、生きた馬はきっと高価に買ってくれるだろうと、いまに天下の名馬は王のもとに集まってくるでしょう』と答えた。はたして1年のうちに千里の名馬が3頭も手に入れることができたという」

郭隗は続けて、「本当に有能な人材を招きたいとお思いになるのなら、この私(かい)より始めなさい。私のようなつまらない者でも重んじられていると知れば、私より優れた人材が続々と集まってくるでしょう」と答えたという。

昭王はこの提案を受け入れ、師父として厚遇したところ、はたして天下の人材が集まり、斉との戦いに勝利をおさめたのである。

この故事にちなんで「隗より始めよ」とは、まず、手近なところから始めよという意味から、転じて、提案者から実行せよという意味で用いられるようになった。
戦国策…中国、周の安王から秦の始皇帝にいたるまでの約250年間の権謀術策を12ヵ国に分けて書いた書。中国古代の「戦国時代」という呼称は、この本に由来する。
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